デイリーレポート

さりげなく物凄いことをやっている凄さに感動

さりげなく物凄いことをやっている凄さに感動

Kyoko

2018年02月10日 土曜日

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▶金曜日は【BODY&SOUL Special】《ケヴィン・ヘイズ グレゴア・マレ デュオ》From NY。私の息子のような若いピアニスト ケビン・ヘイズ(pf) さんと グレゴア・マレ(hca)さん。ケビンさんはその昔(彼がプロになる前)NYで、日本人が経営しているお店にご自分のピアノ「スタインウェイ」を持ち込んで弾いていたときからのおつきあいで、もう25年ほどになリます。グレゴアさんはまだ有名になる前に、井上智バンドのメンバーで当店に出演されました。スイス出身でNYに移り住んでおられますが、井上さんがまだNYにいた頃です。それからすぐマーカス・ミラーバンドや小曽根真さんなど、ビッグネームと共演するようになって、私もとても嬉しかったことを覚えています。その二人のステージ。とても難しいことをさり気なくやっておられる凄さを感じました。
▶以下、演奏曲とレポートは facebook の当店のタイムラインに投稿してくださったものが素晴らしいかったので、ご本人に転載の許可を取ろうと連絡すると、ちゃんと書くので少し時間を欲しい、ということでしたので、お待ちしています(もうしばらくお待ち下さい。
——-神野 秀雄さんから当夜のレポートが届きました。神野さん、ありがとうございました。勉強になります。ぜひお読み下さい。
「美しく創られた音の宇宙で、ふたりの歌心に酔いました」
▶1st stage…♪I’ll Remember April (Gene de Paul)、♪Lambres、♪Make You Feel (Bob Dylan)、♪Bluesette (Toots Thielemans)、♪Take the ‘A’ Train (Billy Strayhorn) 〜♪Caravan (Juan Tizol and Duke Ellington)、♪Body and Soul (Johnny Green)。
▶京子ママが「私の二人の息子よ」「ケヴィンなんか22歳から知ってるもの」と言い、想いがこもる二人。その息子たちも今は40代になりました。ケヴィン・ヘイズは、昨年、自己の『New Days』トリオとスティーヴ・ガッド・バンドでも来日しています。グレゴア・マレはスイス出身、パット・メセニー・グループ(PMG)『The Way Up』、小曽根真『Road to Chopin』とクリスマスコンサートでも記憶されるかも知れませんが、2015年には自己のカルテットで来日(ベースはジェームス・ジーナス)、現代最高のハーミニカの名手です。
▶二人の優しい音色とともに、暖かく優しい音楽に包まれますが、実はシンプルに歌うだけではなくて、凄い面倒くさい音作りもやっています。”アレンジ”なんて域を超えて、原曲をケヴィンの脳内でバラバラに分解してから、再構築してパラレルワールドを作ってしまいます (日本でこれが凄いのはピアニストの林正樹さん)。たとえば<Scrapple from the Apple>のフレーズが宙を舞っていきます。面倒くさいといっても、複雑のための複雑ではなく、感性に正直になったら自然にそうなっているだけで、複雑に聴こえないし、本人たちも普通に演奏して、当たり前のように音を紡いでいきます。懐かしい気持ちとともに、その新しい宇宙を、二人の暖かい音色とケヴィンの優しい声、ボディ&ソウルの雰囲気とともに冒険していく幸せな時間。
▶ハーモニカと言えば、もうこの人!2016年に亡くなったトゥーツ・シールマンスの<Bluesette>をグレゴアで聴けるのも素晴らしかったです。なお、トゥーツはHOHNERハーモニカでしたが、グレゴアは浜松の鈴木楽器製作所のグレゴア・マレ・モデル、金属カバー付きG-48と木製カバー付きG-48Wを使っていると思います。G-48Wだと木製カバーなので木管やピアノの響きにもつながる深みがある音に。
▶ファーストの最後は日本の母さん、京子ママに捧げる<Body & Soul>。二人のお母さんに聴かせる感が伝わって、ボディ&ソウルが優しい空気に包まれました。
▶2nd stage…♪Bluesalinho、♪James (Pat Metheny / Kevin Hays)、♪Scrapple from the Apple (Charlie Parker)、♪Back Home、♪Hit the Dart 、♪Green Glass (England old song / Kevin Hays)、♪Senhorinha (Guinga)、♪Amarelo。
▶セカンドで、うーん、この曲知ってる気がするんだけど、何だっけ、と思ったら、サビでようやく分りました。パット・メセニー『Off Ramp』(ECM1216)の<James>に、ケヴィンが歌詞とメロディーを付けました。大人気の一曲だけに中途半端に歌詞付けても、勝手なことするなよ、つまんないよ、になりかねないですが、メロディーがパットのギターをなぞっていない、ケヴィン・オリジナルのメロディーなのがみそで、パットの秀越なコード進行にケヴィンのメロディーと深く豊かな声がのり、パット・メセニー・グループ・メンバーだったグレゴアの哀愁に満ちたハーモニカがそこに懐かしさを加えます。もともとパットが、”ジェームス・テイラー的な”曲として作っていて、それが36年の時を経て、ジェームス・テイラー的な、いや、それを超える歌が、ジェームス・テイラー・バンドのピアニストによって完成しました。涙が出るような演奏でした。スティーヴ・ガッド・バンドへジェームス・テイラーの賛辞に「この最高のバンドが新しいヴォーカリストを雇わないことを祈るばかりだ。」とありますが、ケヴィンはもう最高のヴォーカリストです(ガッド・バンドでは歌わないですが)。声の表現の幅、声質とも素晴らしい上に、ボディ&ソウルの距離感だから伝わる圧倒的な凄さ。ボディでヴォーカルを聴くのが好きな方なら、次回絶対にお勧めします。
▶終盤で演奏された、たしか<Senhorinha>の頃には、もう身も心も溶けていく感じでした。公式のデュオ動画があるので、ぜひご覧になっていただいて、この夜の幸せをお裾分けしたいと思います。素敵な宇宙を演出してくれたボディ&ソウルのみなさん、京子ママ、ありがとうございました!
(Written by Hideo Kanno)

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Kevin Hays & Gregoire Maret – Senhorinha at Smalls, NY

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