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(2020年04月6日付)

デイリーレポート

和やかな中に程よい緊張感の流れる珠玉のデュオステージ

和やかな中に程よい緊張感の流れる珠玉のデュオステージ

Kyoko

2020年02月17日 月曜日

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[転載]
コアなジャズファンには facebook などでお馴染みと思いますが、中西光雄さん。素晴らしい文章のライブレポートなどを、時々私も読まさせていただいています。その中西さんが来ていらしたので、私はさっそく当夜のライブレポートをお願いしました。中西さんは快諾してくださって、彼のタイムラインにアップしてくださいました。そのまま転載させていただきます。いつもながら、評論家顔負けの鋭く温かいレポートをお楽しみ下さい。Kyoko
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▶《土岐英史「AFTER DARK」発売記念ライブ》土岐英史(as. ss.) 片倉真由子(pf.)
土岐英史が昨年11月にリリースしたアルバム「AFTER DARK」の発売記念ライブを、南青山 BODY&SOUL で聴いた。これは、岡本太郎記念館にある故岡本太郎のアトリエで録音されたサックスとピアノのデュオアルバムである。アトリエに残された与謝野晶子に由来する古いアップライトピアノを調律し、才気あふれるファーストコールピアニスト片倉真由子が演奏。土岐英史のレジェンドリーなサックスと豊かな対話をするという趣向。もちろん、BODY&SOUL のハウスピアノはグランドピアノだが、録音から8か月を経てより深化したふたりのダイアローグを楽しむには十分な空間である。新型コロナウイルスの影響で、週末の街の人出は激減したが、南青山 BODY&SOUL はほぼ満員のゲストの熱気に満ちあふれていた。
▶テーブルの上に、アルトサックスとソプラノサックスが置かれ、土岐のために高いスツールが置かれている。ステージに登場した土岐は「なれないセッティングなのでうまくできるかどうか」と言いながら、冒頭の二曲を美しく演奏した。「アルバムに入っていない曲を2曲。僕のオリジナルの”C minor”とアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲“How insensitive”を聴いていただきました。」「でも、せっかく来ていただいたのにアルバムの曲もやらないと、お客さんをがっかりさせてしまいますから…」。アルトサックスを座って吹くことに多少の違和感を覚えたのか、3曲目から立っての演奏に変わったが、土岐の力強くセクシーに歌うサックスは、もちろんゲストの心を大きくゆさぶったのだった。アルバムから” Gee Baby Ain’t I Good to You”そして” 黒いオルフェ”。片倉真由子のからみつくような、そして一方で軽やかに疾走するピアノは、土岐のサックスを美しくサポートし、音楽に決定的な説得力を与える。なんと美しい対話であろうか。ファーストセット最後の曲は、土岐がソプラノサックスに持ち替えて” My Foolish heart”.「今年はじめてソプラノを吹くんですけど、なんとかできそうなので……」。日野元彦と演奏した想い出の曲を、まことに美しく歌い上げたのだった。そう、ソプラノサックスは座って……。このスタイルが、最後まで続いた。土岐のソプラノサックスはストラップがつかない古いタイプで、「落とさないか心配したよ」と終演後語ったが、土岐にこれほど美しく演奏してもらえるのだから、楽器のほうが土岐を離さない。土岐は2月1日に誕生日を迎え70歳になったばかり。これほど豊かな力強く甘くセクシーに歌う古希を私は知らない。
▶セカンドセットは、ソプラノで” How High the Moon”で軽やかにはじめる。アルバム所収の“枯葉 Autumn Leaves”では「この曲はあまり好きではないんですよ。特にオリジナルのキーは…。だから高校生のころには生意気にキーをかえて演奏していました。高校生のころ僕はテナーサックスとギターにばかり興味があったので…。」とゲストを笑わせ、タイトルチューンの” After Dark”、再びソプラノに持ち替えて” Beautiful Love”と続く。「次はフレディ・レッドFreddie Redd の”the music from The Connection”から一曲おおくりします。このアルバムの評価は低いのですが、評価の低いもののなかにこそすばらしい曲があるというひとつの例です。」”Time to Smile”をアルトで高らかに歌い上げて、ゲストたちの熱狂の中、いったんステージを終えた。
▶アンコールは2曲。「バラードはとても体力を使うんです。いちばん楽なのはアップテンポの曲。そのバラードの曲を聴いていただきます」“Black Eyes”。さらに「3月に関西の84歳のギタリスト竹田一彦さん(1936年1月1日生)と録音をするのですけれど、その竹田さんへ捧げる曲です。みなさんに先に聴いていただくかたちになりますが。」“The Guitar Man”。土岐の中に70歳にして未来を見つめる眼差しの確かさと強さを感じながら、この夜のステージは終わった。
▶MCの中で、土岐は片倉真由子のピアノのすばらしさを再三語ったが、むしろピアノレスを最上とする音楽観を、片倉のアンサンブルワークへのすさまじい献身によって変えられたという言葉に、片倉への愛と信頼をひしひしと感じたことだった。
▶「土岐さんは、うちが六本木にあった時代からずっと出てもらっているのよ。お酒が好きでね。いつも朝までいっしょに飲んで……。」戦友といっていいのだろう。今年80歳になる京子ママの話も聴けた。まさに日本のジャズを牽引してきたレジェンドたちの言葉である。この方々に深く敬意を払いながら、私たちの世代はジャズを聴き続けることで、より若い世代にこのすばらしい芸術を伝えてゆかなければならないと確信した夜でもあった。
▶私個人にとっては、山下達郎の楽曲の中で、愛のせつなさと崇高さを豊かに感じさせてくれてきた土岐英史の生の音を、全身にあびるようにして聴くことができたことは、もはや感激をはるかに越えた経験であった。ある意味で、土岐のサックスに感性を育てられてきたのでもある。またぜひライブに足を運びたい。
▶このデュオの次のライブも京子ママのいちはやいブッキングによって7月11日(土)に決まったようだ。次回はぜひ BODY&SOUL へ!
土岐さん、片倉さん、京子ママ、ほんとうにありがとうございました。そして今回のライブをご紹介くださった畏友菅野広和さんにも感謝を!
▶1st stage…♪C minor、♪How insensitive、♪Gee Baby Ain’t I Good to You、♪黒いオルフェ、♪My Foolish heart(ss)
▶2nd stage…♪How High the Moon(ss)、♪枯葉 Autumn Leaves、♪After Dark、♪Beautiful Love(ss)、♪Time to Smile、アンコール♪Black Eyes、♪The Guitar Man。

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