1st release

SK4 Blues

SK4

  1. SK4 Blues (9:30)
  2. Three Little Words (9:45)
  3. Body And Soul (7:45)
  4. 子犬のワルツ (10:40)
  5. I'll Be Seeing You (12:50)
  6. Night And Day (8:30)
  7. Giant Steps (11:45)

PERSONNEL

佐藤洋介

Yosuke Sato

A.sax

 札幌市を拠点に演奏活動開始。2008年渡米、グレゴリー・ポーターのバンドで唯一の管楽器奏者として在籍、4枚のアルバムに参加しグラミー賞を2度受賞。世界各国のジャズ・フェスに出演しサックス奏者として世界的に高い評価を獲得。2015年に同バンドを離れ日本の千葉県佐倉市に拠点を移し活動中。サックス・フルート・クラリネットをこなし、またシンガー、作曲家、アレンジャー、教育者としても活躍中である。

菊池 太光

Taiko Kikuchi

Piano

 1985年生まれ。小学校からクラシックピアノを習い始める。高校2年のおわりに友人から勧められて聴いたオスカー・ピーターソンに感動しジャズピアニストを志す。現在はSK4 菅原高志PEACE 伊藤勇司カルテット 西川直人トリオ 自己のトリオ その他多くのセッションで活動中。ころころと転がるような丸やかなタッチのピアノである。

楠井 五月

Satsuki Kusui

Bass

 1985年、北海道旭川市生まれ。幼少期にエレクトーン、中学からエレキベース、大学からコントラバスを弾き始める。井上陽介に師事し在学中よりプロとして活動。2011年より辛島文雄トリオに参加し全国を回る。現在はTOKU、谷口英治、グレース・マーヤ、若井優也、魚返明未のバンドを始め海外ミュージシャンの来日公演のサポートも数多く務める。ジャズの伝統に根差した強靭なスウィングビートと様々なジャンルに対応する幅広い音楽性を持っている。

山田 玲

Akira Yamada

Drums

 1992年、鳥取県北栄町生まれ。幼少時より音楽に親しみ高校卒業後上京。猪俣猛、本田珠也、G.ジャクソンに師事し、18歳よりプロ活動を開始。現在は主に、前田憲男、秋満義孝、熊谷ヤスマサ、松本茜、大野俊三、今津雅仁、浜崎航、中山拓海、TOKUなどのバンドで活動し様々な音楽シーンに登場。若手ながらファーストコールのドラマーとして活躍している。

LINER NOTES

夢と希望をジャズにのせて

音楽評論家 中川ヨウ/Yo Nakagawa

 楽しさがあった。スピードとテクニックがあった。ライヴが進むにつれて、会場に笑顔が増えていった。このバンドには、聴く人をハッピーにする何かがあった。

 SK4。メンバーたちがつけた名前だが、実は南青山にある人気ジャズ・クラブ、BODY & SOULのオーナー、関 京子氏の頭文字だ。2016年秋に結成されたが、その前にSK3が存在し、ピアノの菊地太光とベースの楠井五月の付き合いは、19歳の時に遡る。セッションで出会ったが、第一印象はともに「速い!」。その速さは、今もSK4のキーワードだ。しかも、4人がそれぞれポジティヴな表現をする演奏家だ。合体した時のヴァージョン・アップは凄いものがあり、BODY & SOULのレーベル再始動第1弾にぴったりのグループ/作品である。

 ここで、メンバーを紹介しておこう。佐藤洋祐は、グレゴリー・ポーター(vo)のお気に入りアルト・サックス奏者としてアメリカで活躍した後、2015年に帰国。ピッチとタイムが非常に正確で、「音とリズムでバンドを引っ張っていってくれる」(楠井談)。菊池太光は、幸せを呼ぶ太陽のようなピアニストだ。 音色、フレーズが光をまとったように輝いている。「素晴らしい才能の持ち主で、タイムも魅力的」(佐藤談)。楠井五月は知性とエモーションのバランスが素晴らしい、歌のあるベーシストだ。「このバンドのお父さん的存在。世話してもらっています」(山田談)。そして最年少、26歳の山田玲のドラムが心地よいビートを叩き出す。「会ったことがなかったら、老練なベテラン・ドラマーに聴こえますよね」(菊池談)。ハイレゾ・ライヴ・レコーディングされた楽曲は、ジャズ・スタンダード以外は楠井五月の作曲だ。佐藤のブロウが楽しめるゴキゲンなオープナー〈SK4 Blues〉。太光の、明るさとスピード感のあるピアノが活かされている〈Three Little Words〉。お店に捧げた〈Body and Soul〉での佐藤の切々とした語り口、五月が奏でるメロディもまた素晴らしい。そして、ショパンの(第6番変ニ長調 作品64-1)〈子犬のワルツ〉が、この4人にかかると楽しくスウィングする。第二次大戦下に流行った、遠くにいる恋人を想う曲〈I’ll Be Seeing You〉では、太光のピアノも哀切さを帯びる。〈Night and Day〉での粋な一ひねり。ラストに収録されたジョン・コルトレーン作曲〈Giant Steps〉の壮大さ。「エンディングは Rockにしました」(一同談)。

 レコード産業は元気がない状況が 続いているようだが、ライヴ・ミュージックはここにある音楽のように、至って元気だ。SK4のジャズは、ライヴ音楽の楽しさに満ち満ちている。それをBODY & SOULがディスクとして発表する、アンビバレントな面白さ。このアルバムの楽しみは、尽きないのである。(2018年2月記)