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デイリーレポート

日本のジャズの明るい未来を予感させる素晴らしい若者たち!!

日本のジャズの明るい未来を予感させる素晴らしい若者たち!!

Kyoko

2022年03月11日 金曜日

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★当店のお客さま中西光夫さんが、ステージが目に浮かぶような素敵なレポートを書いて facebook に投稿してくださいました。中西さんいつもありがとうございます。以下、お許しが得られましたので転載させていただきます。
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▶先月BODY&SOULにデビューしたばかりのトランペッター松井秀太郎。急遽小曽根真のバンドに加わることになった彼と中林俊也の演奏のすばらしさは、すでにオーディエンスの語り草になっている。その彼が率いるクインテットの初ライブが行われると聞いて駆けつけた。
▶メンバーは、全員国立音楽大学ジャズ専修の卒業生。ベースの佐藤潤一とドラムの北井誉人は年長で、松井とは在学期間が重ならない。しかし、ふたりは、どうしても今回一緒に演奏したいという松井からのオファーを快諾してくれたのだという。サックスの中林俊也とピアノの中西司は同世代。強力なリズムセクションを得て、金管が声高らかに歌うという趣向である。まことに若々しいメンバーで構成されたこのクインテットに胸躍らざるをえない。
▶2つのセットはそれぞれ5曲ずつの構成。ジャズのスタンダードと松井のオリジナル楽曲が組み合わされる。ブルース・バラード・ラテンと曲調とリズムをたくみに変えながら、ストレート・アヘッドなジャズの王道を行く円熟のインタープレイが展開された。松井は、時に弱音器を用いてセクシーに歌い、時に豪快にも咆哮する。中林はアルトサックスをソプラノサックスに持ち替えて、せつなく迫ってもくる。濃密なアイコンタクトの中で、お互いを信じてより高い境地を目指す求道者の姿がそこにはあった。圧倒的な音量とテクニックで迫ってくる北井誉人のドラム、ウイットに富み即興の妙を見せる佐藤潤一のベース、そして多彩で美しいメロディを紡ぎながらクインテットの要となる中西司のピアノ。彼らの演奏から感じられる音の圧力や包容力は、彼らの若さによるものではない。音楽の神が自分を選んでくれたことに感謝し、習練をつみ、ともに演奏するミュージシャンをリスペクトしつつ、演奏に没入してゆく。その美しい心にこそ由来するものだと、わたしたちオーディエンスは理解したのである。
▶フリューゲルホーンに持ち替えて演奏された♪Body And Soul は、すばらしいチャンスを与えて京子ママに捧げられた。松井は、2月の小曽根真とのセッションのあと、すぐ京子ママから「リーダーセッションをやってみない?」とオファーを受けたのだそうだ。若いジャズミュージシャンにとってはこの上ないよろこびだが、同時にとてつもない重圧でもあろう。それを自然体で淡々と乗り越える松井の姿に、彼の本気と才能を見た。
▶それにしても松井秀太郎のコンポーザーとしての才能はすばらしい。セカンドセット最終の2曲は彼のオリジナル「トラストミー」と「ヒプノシス」は、先日行われた国立音楽大学での卒業試験の曲目である。この演奏で、松井は谷田部賞を受賞、首席で卒業することとなった。もちろん両曲とも美しいトランペットがリードするのだが、それぞれのパートがインスピレーティブなソロを自在に演奏する可塑性を持ち、複雑に構成された転調とリズムの変化を乗り越えてゆくという構成。いつか松井も、自分のオリジナル楽曲のみでライブを行うようになるかもしれない。そんな可能性を強く感じた。
▶大きな拍手の中、アンコールはデューク・エリントンの「ポートレイト・オブ・ルイ・アームストロング」。ビックバンドで演奏されるこの曲を今夜はクインテットで。しかし、彼らの演奏の熱さと音の圧力は、十分ビックバンドを越えていたように思う。この若さにしてこの円熟。しかし老成ではけっしてない。未来のジャズをたぐりよせる松井秀太郎とその仲間たちの志を、わたしたちは心から応援したいと思う。高校時代はクラシック音楽を学んでいたという松井である。大学入学時、彼はジャズはまったく演奏できなかったらしい。しかし今やそれは冗談だとしか思えない。国立音楽大学ジャズ専修から次々に生まれてくるミュージシャンたちの演奏を聴き、良い意味で震撼せざるをえないわたしである。
▶小曽根真は、はじめから終わりまで後ろの席でこのライブを聞いていた。時にうなづき、ときに満面の笑みを見せていたという。そしてついにステージにはあがらなかった。わたしはそこにミュージシャンたちの矜恃と信頼とを見る。そう、バトンは渡されたのだ。かつては教えるものと教えられるものとの関係であった者が、真に対等なミュージシャンとなる。そのステージの過酷さと栄光は、ミュージシャン同士のリスペクトによってのみ乗り越えられ得られるものだ。そして若い彼らは小曽根からのバトンを確かに受け取った。わたしはジャズのファンとしてその現場にいることができたことを、誇りに思い僥倖だと感じている。松井秀太郎をはじめとして5人のミュージシャンに、心からおめでとうと、そしてありがとうと言いたい。ご活躍を祈ります!
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★中西さま、いつも素晴らしい心のこもったレポートありがとうございます。大勢のお客さまをお迎えでき、気持ちよく演奏を聴くことが出来てとても幸せでした。この若いメンバーたちにも心から御礼を言いたいです。ありがとうございました。
次回、松井秀太郎カルテットは5月28日(土)メンバーは一部かわるそうです。 中林俊也バンドは6月7日(火)です。皆さま、応援よろしくお願いします。以下は、秀太郎さんがコメント入りで書いて下さった演奏曲リストです。
▶1st.set…♪Legend…今回のメンバーを想定して書いた曲、リー・モーガン♪Ceora、松井秀太郎作♪夢幻…中林さんの(ss)をフィーチャー、(tp)(b)(ds)のトリオでジミー・ヴァン・ヒューゼンの♪It Could Happen To You、松井作♪Blues…7拍子と4拍子の混ざったブルース。
► 2nd set…ハンガリーのフランツ・レハール♪Yours Is My Heart Alone…オペレッタ「まほえみの国」より。高校の時オーケトラで演奏した曲、リー・コニッツ♪Subconscious、ソロで♪Body and Soul、卒業試験で演奏した2曲、松井作♪Trust Me、♪Hypnopi、アンコール曲はD.エリントン♪Portrait of Louis Armstrong でした。

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