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デイリーレポート

久々に満席(キャパの50%ですが)の店内に❢+

久々に満席(キャパの50%ですが)の店内に❢+

Kyoko

2020年07月12日 日曜日

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▶私も楽しみにしていたデュオステージ、土岐英史(as) さんと 片倉真由子(pf) さんの《土岐英史&片倉真由子》。土岐さんとは私は古いお付き合いで、若かりし頃は終演後に皆んなで飲みながらジャズ談義に華が咲いたものでした。土岐さんも私も最近はお酒もあまり飲まなくなっています。ジャズメンも皆さん昔の人と違って健康管理をちゃんとなさっておられる方が多いですね。土岐さんのアルトの音色は本当に美しく、お客さまもよくご存じでソーシャルディスタンス下のお店が満席になり(通常営業のほぼ50%ですが)土岐さんと真由子さんの心に深く届くデュオ演奏を皆さま熱心にお聴きになっておられ、店内はとても良い雰囲気で真由子さんも嬉しそうに演奏されていました。次回この二人は、秋10月9日(金)になります。ご予約はお早めに!
▶1st set…土岐作♪C Minor、A.Cジョビンのきれいな曲♪How Insensitive、♪Gee, Baby Ain’t It Good To You…久しぶりに聴きました。D.エリントン♪Blues In C。ファーディ・グローフェ♪On The Trail。
▶2nd set…土岐作♪The Guitar Man…一緒に演奏レコーディングした関西の大ベテランギタリスト竹田一彦さんに捧げた曲。スタンダード曲♪I Hear A Rhapsody、土岐作バラード♪After Dark…心に訴えかけるような曲でした。♪Antumn Leaves…お馴染みの曲ですが土岐さんはこの曲があまり好きではないとのことでキーを変えて演奏。ピアノイントロから出て最初は何んな曲か分らない感じで次第に分るようになってサックスに渡し、そしてまたピアノに戻ってエンディングは粋でした。フレディー・レッド♪TimeTo Smile…シンプルに演奏。アンコールはソプラノサックスで♪My Foolish Heart…久しぶりに吹くので吹けるかな、と言いつつ…しっかり美しく吹いて終演でした。
★追記————————————
当店の常連さんでもあり、ジャズ界で知らない人がいないほど熱烈なジャズファンで、プロが裸足で逃げ出すほどのジャズ評論家でもあられる中西光雄さんがいらしていて、また、素晴らしいレポートを facebok に投稿されました。いらっしゃると私はいつもレポートをお願いするのですが、お忙しかったようで「一日遅れましたが…」とお送りくださいました。以下、転載させていただきます。中西さん、ありがとうございました。
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▶新型コロナウイルス感染症への対策を十分に講じながら、営業を再開した南青山Body&Soul。このジャズの聖地でひさしぶりに聴くライブは、土岐英史(as)と片倉真由子(pf)のデュオである。今年の2月15日(土)に、デュオアルバム「AFTER DARK」の発売記念ライブをここで聴いた。その夜のまことにすばらしいセッションの報告はすでにしたのだが、わたしにとって、長い自粛のあとさきにこの敬愛すべきデュオがブッキングされていたのは偶然ではない。客席を通常の半分に減じているものの、この夜のBody&Soulは満席。わたしたちジャズファンが、どれほどこの熱く美しいインタープレイを待ち焦がれていたかがわかる。
▶土岐は冒頭、「この間、歯医者にも床屋にも行くのがおっくうになってしまって、人と会わなくなりました。それですっかりシャイになってしまいましたので、みなさん、あんまり僕のほうを見ないでください」と言って、オーディエンスをおおいに笑わせた。その直後に、土岐のオリジナル”C Minor”が演奏されたのだが、ブルージーで哀切なアルトサックスの音色がホール全体に満ちて、わたしたちは一瞬にして土岐ワールドに誘われたのである。この上なく美しい土岐のサックスに、土岐が全幅の信頼を置く片倉真由子の才気溢れるピアノが絡みつくジャズならではの密接な対話が、計算されたソーシャルディスタンスをかろやかに超越してゆく。サックスとグランドピアノの心地良い音圧がわたしたちの全身を包み込んで、ジャズのテクスチャーを皮膚感覚で味わせてくれる。細胞のひとつひとつが蘇るような感動を覚えたことだった。そう、これがジャズ、これがライブなのである。
▶時節柄、MCは控えめで一セット5曲の構成。土岐のオリジナルとスタンダードを組合せ、サックスデュオの魅力をあますところなく伝えてくれる。次第に熱を帯びる片倉真由子のピアノとの相性はばつぐんで、見事な説得力に舌を巻くほかはない。その片倉は、佐藤恭彦(bass)奥平真吾(dram)のトリオで”plays TOKI”というアルバムを6月25日にリリースしたばかり。これは土岐のオリジナル楽曲を土岐抜きで演奏したソングブックである。「ふつう作品集というのは、作者が死んでからでるものなんですけど……」と土岐は笑わせるが、そのすばらしい企画と演奏に目を細めた。このアルバムを制作したこともあるし、片倉自身がSNSで発信しているように、自粛期間にあらためて自分の音楽と本気で向き合ったこともあるだろうが、2月のライブと比べても、土岐の演奏に対する理解とリスペクトはより深まっており、それに比例するように彼女のピアノは自由自在に歌って、彼女の天才をあますところなく発揮していた。ピアノに向かう片倉の姿は、ピアニストであると同時に画家のようでもあり、右手を空中に高くあげ、自らが歌うのにあわせて正確に鍵盤に振り下ろすその指は、わたしたちの予想を超えた和声を紡ぎ出した。そしてその音は決してうるさくはない。この天才的なバッキングと、独自のソロプレイによって、このライブはさらに高みに向かっていったといってよい。土岐がほんとうはあまり好きではないといい、あえてキーを変えて演奏した「枯葉」では、メロディーを片倉にまかせ、土岐はむしろその安心の中で自在にサックスを吹いたのだが、それこそかつて聴いたことのない「枯葉」で名演であった。
▶いつもの、フレディ・レッドの”Time To Smile”の軽やかでさわやかなサックスの音色を聴きながら、このすばらしいライブは終了。アンコールは,ソプラノサックスに持ち替えて”My Foolish Heart”が演奏された。土岐は「一年に一度くらいは吹かないと音が出なくなるから……でも間違えたらごめんなさい」と謙遜するが、そのあまりにも美しい音色に、わたしたちは聴衆は息をするのも控えるほどだった。
▶ジャズライブの楽しみを細胞のレベルで思い出させてくれたこのふたりの偉大なミュージシャンに心からの感謝と尊敬を!そして、南青山Body&Soulでライブを聴くことのできる幸せを提供してくださる関京子ママをはじめスタッフのみなさまに感謝を!この方々の音楽への献身がなければ、わたしたちの生はなりたたないことをわたしたちは知っているのだから。
▶このデュオの次のライブは10月9日(金)です。

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